【頸城鉄道】奇跡の里帰りを果たした車両たち |
平成24年10月 新潟県上越市
信越線の黒井駅に隣接する新黒井から、頸城平野を縦断して浦川原を結んだ頸城鉄道。
今でも軽便鉄道好きの間では人気の路線です。
昭和46年の廃止以後、コッペルと呼ばれた蒸気機関車と一部の保存車を除いては、
現存していないと思われれていた当時の車両たちが、六甲山中から掘り起こされて、
当時の車庫があった百間町に里帰りしたのは、平成18年のことです。
上越市が所有し、地元商工会が中心となって設立したNPOが保存活動に取り組み、
平成21年にディーゼル機関車DC92が、そして今年、ディーゼルカーホジ3が、
動態に復元されました。
今回は、そんな保存車両たちをご紹介したいと思います。
蒸気機関車2号機 1911年ドイツ・コッペル社製。廃線後西武山口線に貸し出され、
「おとぎ列車」の先頭を飾った後に里帰りして、永らくたった1両で保管されてきた。
各所の赤い色入れは、西武時代の名残。
ディーゼル機関車DC92 1954年協三工業製、足回りは1号蒸気機関車の流用。
同僚に“森ブタ”と呼ばれた森製作所製のDB81という機関車がいたが、
こちらは廃線後解体されてしまった模様。
ディーゼルカーホジ3 1932年特別客車ホトク1を改造。改造当初はただ単に客車に
エンジンを乗せただけという珍妙な形態だったが、後に客室をデッキ部まで延長し、
先頭部に運転台を移設する改造を行い、不思議な雰囲気の表情になった。
客車ハ6 魚沼鉄道から転属してきた2軸客車。
有蓋貨車ワ7・ワ14 ワ7は元々木造だったものを自社で鉄製に更新したもの。
ワ14は魚沼鉄道→国鉄魚沼線から転属してきた木造貨車。
ここの保存車の特徴はやはり「当時のまま動く」ということに尽きると思います。
敷かれているレールは決して長くないですが、非電化軽便鉄道を21世紀になって
体験できるとは、最高の贅沢だと思います。